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第三者意見

「CSRレポート2016」に対する第三者意見

特定非営利活動法人 循環型社会研究会 理事
山口民雄

山口民雄プロフィール  新聞社に25年勤務後、環境ベンチャー広報部長、出版社の環境誌編集主幹、大学の非常勤講師などを経てフリー。 2000年よりCSRの研究に着手し、毎年350社の報告書を精査し、動向を発表。 (http://csr-project.jp/

循環型社会研究会  次世代に継承すべき自然生態系と調和した社会の在り方を地球的視点から考察し、地域における市民、事業者、行政の循環型社会形成に向けた取り組みの研究、支援、実践を行うことを目的とする市民団体。 研究会内のCSRワークショップで、CSRのあるべき姿を研究し、提言している。 (http://junkanken.com/

貴社では2016年度版から統合報告書「ジェイテクトレポート」が発刊されました。 統合報告書の発行企業は急増していますが、CSR情報の後退が懸念されています。 IIRC(国際統合報告評議会)では統合報告書を“簡潔なprimary report”と位置づけ、既存のCSR報告書などとの並存、関係づけをイメージしています。 このことに従えば、CSR情報の後退はありませんが、並存していない例は少なくありません。 しかし、本レポートのマネジメント、社会、環境報告は昨年度版に比べ増頁されており、さらに初めて公開する情報も多く後退の懸念はまったくありません。

重要なCSRターゲットが示された2015年

さて、2015年はCSRを積極的に実践する企業にとって大きなCSRターゲットが示された年といえます。 同年6月のG7サミットでは「資源効率性を向上させる」宣言がされ、9月に国連で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。 そして、12月のCOP21で、すべての国が協調して今世紀後半には温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すことを定めた「パリ協定」が採択されました。 国内に目を転じると、8月の女性活躍推進法の制定、メンタルヘルス疾患者削減に向けた12月からのストレスチェックの義務化などがあります。 報告書はこうした動向に敏感でなければなりません。 ISO26000の「社会的責任に関する情報の特性」の一つにも「敏感である」ことがあげられており、報告書の読者も上記の動向への対応報告を期待します。

国内外の動向に「敏感」対応できたか

資源効率性の向上、女性活躍推進、メンタルヘルスについては、定量記載も含めて非常に詳しく考え方、制度、成果などが詳述され読者の期待に応えています。「2030アジェンダ」の17の目標(SDGs)については「社会背景」の中に文言があり、その重要性を認識されていることは伝わりますが、CSRのターゲットとしてどのように取り組むのかの記載はありません。「ジェイテクトが提供する価値」とSDGsを関連づけて報告されるとよいでしょう。
 「パリ協定」については11月4日に発効することとなり、時代は炭素制約社会からゼロ炭素社会に突入したといえましょう。貴社では2016年5月に「環境チャレンジ2050」の指針を制定するとともに達成に向けた第1ステップとして「2020年環境行動計画」が示され、それぞれに低炭素社会の構築に向けたCOの排出目標が定められました。「パリ協定」に対応し、このような中長期目標を打ち立てたことは高く評価できます。ただ、その目標が原単位の削減であり、排出総量目標が「極小化」あるいは「原単位目標×生産量」となっていることが気がかりです。今後は、さまざまなイノベーションによって生産量の増大とCO2の排出量増の両者を切り離すデカップリングが要請される時代になることは必至です。ぜひ、カーボンニュートラルから歩を進めてゼロ炭素社会に向けた排出量の絶対値目標を定めることを期待します。

CSRが各部門にまで浸透している

ここ数年、貴社のCSR報告書に関与してきていますが、着実にCSRが従業員の中に浸透していることが伝わります。 これは、基幹職、事技職、技能職の階層別研修の中でCSRに関する内容を豊富に取り込み、各部門でPDCAを回し計画的にCSR活動を推進している成果と考えます。 特に特集での「技術者・研究者が、未来の社会に貢献できるような開発テーマに取り組むよう、研究部門を牽引していきたい」との発言は、「CSRの考え方」に対応したものであり、浸透を象徴するものと捉えました。

第三者意見を受けて 株式会社ジェイテクト 経営管理本部 経営企画部

中間での意見交換会に続き、完成したCSRレポートへの貴重なご意見をありがとうございます。
 2016年度より統合報告への第一歩として、ジェイテクトレポートを発行しました。本CSRレポートでは、ジェイテクトレポートに掲載したESG(※)に関する事項の詳細を発信する一方、CSR活動に関する情報提供のさらなる充実に努めています。
 ご意見でいただきましたように、CSRに関する要請が年々高まっていることは常々感じています。これからもステークホルダーのみなさまのニーズに沿った活動に取り組むとともに、国連の掲げるSDGsをはじめ、持続可能な発展を目指す世界の動きに協調し、貢献してまいります。
 2016年は、ジェイテクトが誕生して10年の節目を迎え、改めてグローバルで共有できる価値観として、JTEKT WAYを制定しました。また、経営理念体系についてもグローバルで共有しやすい、わかりやすい形にしました。このJTEKT WAYを加えた経営理念体系を新たなチャレンジの原動力として、「社会の信頼に応え、モノづくりを通じて、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献します」という企業理念の実現に取り組んでまいります。

ESG Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字。企業が事業活動を展開するにあたり、企業責任として配慮が求められる項目。