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第三者意見

「CSRレポート2017」に対する第三者意見

特定非営利活動法人 循環型社会研究会 理事
山口民雄

山口民雄プロフィール 新聞社に25年勤務後、環境ベンチャー広報部長、出版社の環境誌編集主幹、大学の非常勤講師などを経てフリー。 2000年よりCSRの研究に着手し、毎年350社の報告書を精査し、動向を発表。 (http://csr-project.jp/

循環型社会研究会 次世代に継承すべき自然生態系と調和した社会の在り方を地球的視点から考察し、地域における市民、事業者、行政の循環型社会形成に向けた取り組みの研究、支援、実践を行うことを目的とする市民団体。 研究会内のCSRワークショップで、CSRのあるべき姿を研究し、提言している。 (http://junkanken.com/

初めての「CSRレポート」(2008年度版)以降、第三者意見を執筆させていただいており、貴社のCSRの深耕や情報開示の拡大とともに歩めたことに感謝しています。 NPO法人に属する同一人物がこのような長期間にわたって携われたのは貴社の度量の広さと自己を相対化し自己革新への強い熱意によるものと確信しています。 私は第三者意見とはレポートの感想文ではなく、企業の実像を伝えるレポートになるべく企業と第三者によるエンゲージメントの成果であり、次のエンゲージメントへの橋渡しの役割を担うものであると考えています。 第三者意見は「エンゲージメントモデル」(2017年3月策定)の一翼を担っていると言っても過言ではないでしょう。

CSRは両輪を同時に実践することが大切

本報告書からもCSRの深耕や開示の扉が徐々に広がることを感じ取ることができました。
深耕は、「CSR推進委員会」の名称を「企業価値向上委員会」に変更したことや情報開示委員会を設立するなどのCSR推進に関する取り組みです。前者は明確にCSRを戦略的CSRに軸足を移したことやCSRと経営の統合を宣言するものです。貴社ではCSRが従業員に浸透している土壌がありますので、こうした移行によるメッセージも間もなく浸透するでしょう。
ただ、戦略的CSRはCSV(Creating Shared Value)に示されるように、企業と社会に共通する価値を生み出す取り組みであり、社会価値創造にも目配りをお願いします。また、CSRは価値創造とともに、事業活動の環境、社会におよぼす影響に対する責任も欠かせませんので、これら両輪を同時に実践することが重要です。
情報開示委員会の設立は、スチュワードシップ・コードに従って投資家がESG(※)情報を評価する力量をつけてきておりますので、それに耐えうる情報開示をするためにタイムリーなことです。今後、非財務情報に関する情報開示原則の明文化や情報開示マネジメントの確立を期待します。また、この間推奨しているマテリアリティの特定も早急に取り組んでください。

※ ESG Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字。企業が事業活動を展開するにあたり、企業責任として配慮が求められる項目。

「人づくり」に関する記載の充実は賢明な判断

開示の扉の広がりは、「従業員とともに」に見ることができます。昨年の14ページから17ページに拡大され、わが国の報告書を牽引する記述内容も含まれています。「人づくり」は「JTEKT GROUP VISION」を形づくる3つの活動の1つであり、トップメッセージ(ジェイテクトレポート)にも「『人づくり』は『価値づくり』『モノづくり』の土台であり、最も難しく、かつ重要な部分です」とあります。こうしたことから、「人づくり」への取り組みを多角化、強化し「従業員とともに」の記載を充実させたことは賢明な判断です。こうした取り組みが、従業員アンケートで従業員満足が継続的に上昇していることに結びついているのでしょう。

指針を目標に落とし込むことが重要

環境報告も社会的要請を踏まえ、先進的な報告が少なくありません。 たとえば長期指針である「環境チャレンジ2050」を策定し、日々の環境保全活動の具体的な指針になっている事例の記載です。 他社のレポートで見る限り2050年という長期的な指針を基盤に活動している報告は稀有です。 今後、この指針を具体的に目標に落とし込んでバックキャスティング的に短中期目標を設定するとこれまで以上に現場では取り組み、評価が明確になるでしょう。 CO2排出に関しては「今後科学的根拠に基づいた目標の設定を進める」とありますので、他の「区分」についても同様の方向に進んでいただきたいと思います。

第三者意見を受けて 株式会社ジェイテクト 経営管理本部 経営企画部

制作開始にあたってのキックオフ会、中間での意見交換会に続き、完成したレポートへの貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございます。本CSRレポートを通じた情報開示の改善を2008年度版より継続的に推進してこられたのは、このようなご意見を頂戴する機会をレポート制作の節目として、毎年着実に積み重ねてきたことによるものと考えております。
ジェイテクトでは、2017年度より実践モデルとしてマネジメントモデルとエンゲージメントモデルを整備し、企業価値向上の取り組みを強化しております。ステークホルダーとの対話による企業価値共創に向けて、2016年度より開始した統合報告化を推進する中、本CSRレポートはCSRに関する詳細情報の掲載により統合報告書である「ジェイテクトレポート2017」を補完し、報告書としての位置づけを整理することでさらなる充実を図ってきました。
ご意見いただきましたように、「CSRの両輪を同時に実践」については、まず、一層重要性が高まる企業の社会的責任に対し、ジェイテクトへの要請・期待の一つひとつをしっかり把握するよう努め、環境・社会への影響に配慮したジェイテクトらしい取り組みの実践をベースに、社会的課題解決への貢献や企業活動により生み出される価値をいかに社会価値へとつなげるのかといった従来のCSR活動の範囲を超えた活動もさらに推進していきたいと考えております。また、非財務情報に関する情報開示やマテリアリティ特定のためのプロセスといった社内の仕組み改善に向けた取り組みも踏まえ、継続的に価値を創造できるよう推進してまいります。
今後も引き続き、企業理念「社会の信頼に応え、モノづくりを通じて、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献」の実現に向けて取り組み、ステークホルダーのみなさまへ、その取り組み状況の報告を継続してまいります。