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プロジェクトストーリー Project Story

リチウムイオンキャパシタ Libuddy

電池にはないメリットを持つキャパシタは、
無限の可能性を秘めた蓄電デバイス。

ジェイテクトは自動車部品・軸受・工作機械に続く新しい事業として、「リチウムイオンキャパシタ Libuddy」という蓄電デバイスの開発にも力を入れています。エレクトロニクス分野であるこの領域は、ジェイテクトの2030年に向けた中期経営計画でも成長事業に位置付けられており、全社的な期待を背負っています。そもそもキャパシタとは、電池の親戚のような蓄電デバイスで、化学反応で電気を貯めたり放出したりする電池に対して、物理反応的にイオンがくっついたり離れたりする性質を活かして電気を貯めるデバイスです。そんなキャパシタの開発やマーケティングをリードする2人に話を聞きました。

  • 三尾 巧美
    三尾 巧美
    蓄電デバイス事業部
    蓄電デバイス開発室 室長
  • 加藤 博仁
    加藤 博仁
    蓄電デバイス事業部
    企画・管理グループ
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ステアリング製品の進化に伴って、
キャパシタによる
電源サポートが必要になった。

【三尾】

私はリチウムイオンキャパシタという蓄電デバイスの開発と、それに付随する回路ハードウェア設計やソフトウェアの開発を行っています。そして、開発が進んで、本格的に事業として成立させるためにマーケティング活動が必要になった段階から、加藤と連携して仕事をしています。

【加藤】

では、私の仕事をご紹介します。大まかにいえばマーケティング活動ですが、まず行うのが市場調査です。「キャパシタ」という製品がどういった業界でニーズがあるのかであったり、これから成長していく分野に対してどのようなメリットをもたらすことができるのかといったことを調べます。そうした情報を深掘りしていき、将来の事業規模を推測しながら、当社として攻める領域を探していくのが私の仕事です。

【三尾】

このキャパシタ開発プロジェクトのきっかけを簡単にお話しすると、最初は当社のステアリング製品を作っている部署で研究開発が始まりました。ステアリングというのはハンドルの先に位置する操舵装置のことで、クルマの進行方向を変えるために必要不可欠な製品です。クルマの電動化が進み、ほとんどの乗用車では電動のステアリングが採用されていますが、重量が3トンを超えるような大型車などでは、舵を切るのに大きな電気エネルギーが必要です。そのため、クルマの電源だけでは電気エネルギーが足りず、旧型の油圧式ステアリングが使われていました。しかし、不可逆な電動化の流れもあって、やはりステアリングの電動化は不可欠です。そんな時に電池とは違って瞬間的に大きな電力を発生させることができるキャパシタを補助電源として活用すべく、開発がスタートしたのです。

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研究開発とマーケティングの
垣根がないから、
仕事のサイクルが早い。

【三尾】

研究開発がスタートしたのは2013年ごろ。クルマに使用するキャパシタには低温・高温のどちらにも高い耐久性が求められるので、高耐熱化をメインテーマに掲げました。そこから約3年後には「茹でても大丈夫」「マイナス40℃でも大丈夫」という過酷な環境にも耐えうるキャパシタを開発。その後も、キャパシタをバックアップ電源として使用する際に、クルマの電源の故障検知やドライバーへの通知を行うシステムの開発や、ステアリングに対して電源を供給する電気回路の設計などを幅広く手がけています。

【加藤】

私の仕事である市場調査は多岐に渡っています。各国での脱炭素に関する政策動向や、各国の調査機関が発表している電気自動車の普及に関する予測等、様々なマーケットのポテンシャルを徹底的に吟味しています。ターゲットとなるマーケットを見定めて、そこに対して当社の強みがどのように活きるのか、「お客様に価値を届けられる提案は何か?」といったことを考えていきます。

【三尾】

私のような開発や技術のメンバーと加藤のようなマーケティングのメンバーが同じ部署にいるのは、非常に大きなポイントだと思っています。

【加藤】

おっしゃる通りですね。相互のコミュニケーションが取りやすいので、事業の方向性なども決めやすく、仕事のサイクルはとても速いです。

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開発したデバイスを自社工場で使える。
だから、忖度のないフィードバックが
受けられる。

【三尾】

このプロジェクトを推進する中で感じるジェイテクトの魅力は、他の蓄電デバイスメーカーと比べて、それを搭載する最終製品も作っている点ですね。そのため「キャパシタがどのように使われるのか?」というノウハウを持った上で設計などを行うことができます。これはキャパシタ業界の集まりに参加したときなどに、とてもうらやましがられますね。また、「ユーザーの声」という商品開発における貴重な情報が社内にあるので、忖度のない製品のフィードバックを受けることができ、開発にとっては大きな強みです。いい意味で遠慮ないダメ出しがバンバン飛んできますので、それに対応し続けて、良い製品を開発できているのだと思います。そういった社内環境だからこそ、チャレンジングな開発ができていると感じますし、その成果として世界初である高耐熱リチウムイオンキャパシタの開発に成功したと自負しています。

【加藤】

私はキャパシタという製品自体に大きな社会的意義を感じています。何でも電動化する時代において、寿命に達した電池の廃棄が今後問題となります。キャパシタを電池と組み合わせて補助電源的に使用することで、電池の劣化を抑制したり、寿命を伸ばしたりすることができます。電池の廃棄問題の緩和につながるため、キャパシタ開発には大きな意義があると感じます。

【三尾】

それくらい社会に求められている製品なので、ジェイテクトとしては今後もこの領域でどんどん仕掛けていきたい。今は、「ステアリングのジェイテクト」というイメージが強いですが、10年後「キャパシタ・電源のジェイテクト」と言われるような存在になれたら嬉しいですね。