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Interviewsアスリート・インタビュー

夜勤後、深夜に振り込むバット…
仕事も競技も「100%」体現するデュアルキャリア

ソフトボール部・森田雄介、青枝諒、三好秀典

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今回のアスリートインタビューでは、ジェイテクトが本社を置く愛知県を飛び出し、四国の玄関口に位置する徳島へ。徳島市近郊の徳島工場を拠点とする男子ソフトボール部を取材しました。国内最高峰のリーグを戦いながらフルタイムの工場勤務もこなす選手たちは何を考え、どんな生活を送っているのか。アスリートでありながら、会社員としてのキャリアも遜色なく築く彼らの生き方に焦点を当てます。(インタビュー日:2023826日)

チームでも職場でも「替えの利かない存在に」

土曜日の練習は決まって午後3時から。酷暑の夏も、日の短い冬でも、あえて午前中に余白を作るチームスケジュールには理由がある。

「うちの選手のほとんどは2交代制で勤務している。金曜日の夜から翌朝8時まで働く日もあって、最低限の睡眠をとって練習に出てくるにはこの時間がギリギリなんです」。

ジェイテクトソフトボール部で選手兼監督を務める森田雄介(31歳、徳島工場工務部日程課)は、うだるような暑さの河川敷グラウンドを駆ける選手らに目を遣った。

森田を含む14人のメンバーの中に、競技を中心とした生活を送る選手は一人もいない。勤務時間のバラつきから、平日に全員がそろって練習することも難しい。一日を確実にトレーニングにあてられるのは日曜日だけだ。それでも、選手たちの表情は活力に満ちている。

入社10年目の主将、青枝諒外野手(28歳、徳島工場品質管理部第2品質課)は黒く日焼けした顔をほころばせて言った。

「仕事も全力でやりながら、ソフトボールで日本一を目指す生活。正直に言えば大変だけど、振り返ると本当に充実した時間を過ごしてきたと思う」。

国内最高峰の日本リーグを戦う選手として歩んできた10年近い歳月。それは、フルタイムで働く社会人として確かなキャリアを築いてきた期間でもある。

「仕事も競技も本気で、100%。だから楽しい。チームでも職場でも、替えの利かない存在になりたいし、そういう後輩を育てたい」。模範的な“デュアルキャリア”を体現する青枝の言葉には、ソフトボール部の目指す姿が内包されている。

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河川敷のグラウンドで練習に汗を流す青枝諒=徳島市で

「仕事あってのソフト」…交代勤務と競技を両立

選手たちが働くジェイテクト徳島工場は、自動車用ベアリング製造における重要拠点の一つ。1000人以上の従業員が所属し、昼夜を問わず社の基幹製品づくりに汗を流している。

ソフトボール部の歩みは徳島工場の歴史を映し出す。創部は工場完成と同じ1963年。日本リーグには黎明期から参戦する古株だ。

一方で、選手の勤務形態は一般的な「実業団」のイメージとは少し異なる。選手は全員、通常の従業員と同様に責任ある仕事を任され、フルタイムで社業に励む。現在チームに所属する14人のうち、常に昼間の勤務帯で働く選手は2人だけ。選手兼監督の森田を含む残りの12人は昼間勤務と夜間勤務を一週間ごとに繰り返す生活を送っている。

リーグ戦を翌週に控える8月下旬の土曜日。午後3時時点で吉野川の河川敷グラウンドに集まることができたメンバーは9人だけだった。「週によっては休日勤務を任される選手もいるので。それにしても、こんなに欠席が多い日は少ないですけどね」と森田。この日、午前8時まで働いていたという若手選手の一人は「今日は昼間に散髪に行ったので、あまり寝られなかった」と苦笑いを見せた。

「仕事あってのソフト。それは全員がわかっている」。青枝がそう強調するように、文字通り「二足の草鞋」(森田)を履く選手たちは、工夫と熱意で練習時間を捻出している。打撃マシンとバッティングケージが設置された工場内の練習場では、深夜に夜勤を終えた選手が集まってバットを振り込むこともあるという。

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練習前のミーティングで連絡事項を共有する森田雄介(右から2番目)

「二足の草鞋」が生む相乗効果

人一倍の努力や工夫が求められる生活であることは間違いない。ただその中にあって「仕事と競技の両立が双方の熟達に良い影響を与える」と考える選手もいる。ベアリングの製造ラインに立つ三好秀典外野手(28歳、徳島工場第2製造部WPBCRB生産課)の言葉が印象的だ。 

「業務で常に頭に置くべき『改善』の意識は、ソフトの練習を効率化する上でも欠かせない。仕事でも練習でもいろんなことをよく考えながら、仮説と検証を繰り返す。それは両方に良い影響を及ぼしていると思う。なかなか同時に進められなくて、脳みそがオーバーワークになることもあるけれど」。 

2021年に青枝が主将となって以来掲げる部のテーマは「選手全員が自ら考えて、発言しあえるチーム」。選手であるとともに社会人として自立と自律が求められ、自動車などモビリティの安全に直結する部品の製造に携わる環境は、このチームの方針ともよくなじむ。

 テーマを発案した青枝本人も「監督の森田さんや先輩選手からの強い要請があったからこそ引き受けたキャプテンだけど、絶対仕事にも生かすことができると思った。職場でリーダーを目指す上で、10代の若者を含む十数人をまとめ上げる経験は必ず役に立つ」と相乗効果への期待を語る。

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競技と業務の両立について語る三好秀典

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