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令和4年度中部地方発明表彰で「文部科学大臣賞」を受賞
-研削盤用「低動力静圧軸受」-

株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:佐藤和弘、以下「ジェイテクト」)では、研究開発本部・加工プロセス研究部の大和宏樹が、公益社団法人発明協会主催の「令和4年度中部地方発明表彰」において、最高賞にあたる文部科学大臣賞を受賞しました。研削盤の砥石軸に使用される「低動力静圧軸受」の特許技術が評価されたものです。合わせて、取締役社長の佐藤和弘が、発明実施企業の代表者に贈られる「実施功績賞」を受賞しました。

本技術の要旨

研削盤は、回転する砥石によって加工物を優れた寸法精度と表面粗さで研削する工作機械です。その砥石の軸を支える軸受(ベアリング)は、砥石が安定して回転するために必要不可欠な部品です。
今回の特許技術は、圧力をかけた潤滑油の力で砥石軸を接触せずに支持する「静圧軸受」の性能向上に寄与しています。砥石軸が回転する際に軸受内で発生する「潤滑油の乱流」を抑制し、従来の静圧軸受に比べ高速回転時の動力損失(乱流による抵抗で失われるエネルギー)を20%程度減らすことを可能としました。これにより、消費電力を減らし二酸化炭素(CO2)排出量を削減することに貢献します。
静圧軸受には元来、「転がり軸受」などの他の方式に比べて回転精度や振動減衰性に優れ、長寿命という特長があります。それらの利点を損なうことなく省エネ化を実現したことも、大きなアピールポイントとなりました。

技術確立のプロセス

近年、生産性向上の観点から研削盤の砥石の回転速度が高速化しています。それに伴って発生する静圧軸受の動力損失を低減する技術が求められていました。

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ジェイテクトでは、流体解析などを実施する中で、動力損失発生の主な要因が「軸受内で発生する潤滑油の乱流」であると解明しました。この解析結果を踏まえ、軸受内部の回転軸につれ回る順流を、軸受底部の逆流と分離することで流れを整流化し、さらにその流れを層流にした低動力静圧軸受を開発しました。
本技術を研削盤に搭載することで、省エネに加えて熱による部品の伸びや傾きなどの変位量を抑制し、冷却装置の小型化による機械フロアスペース削減に貢献します。また、本技術を搭載した研削盤は、一般社団法人日本機械工業連合会主催の令和2年度優秀省エネ機器・システム表彰において、経済産業大臣賞を受賞しています。

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<参考>当社の研削盤が優秀省エネ機器・システム表彰 経済産業大臣賞を受賞
https://www.jtekt.co.jp/news/210304.html

本技術の特許概要

特許登録番号:特許第6455177号
発明の名称:静圧流体軸受装置、静圧流体軸受装置を用いた工作機械用主軸装置

地方発明表彰について

地域産業に貢献している優れた発明を生み出した技術者・研究開発者を顕彰する表彰として、大正10(1921)年に始まりました。現在は全国8地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)ごとに開催されています。中部5県(愛知、岐阜、三重、富山、石川)が対象エリアとなる中部地方発明表彰では、機械部品やソフトウェアに関する発明、考案、意匠(デザイン)が毎年エントリーされ、しのぎを削っています。

今後に向けて

静圧軸受は、ジェイテクトが長期にわたって開発を続けるコア技術です。これからも、このたびの静圧軸受の低動力化技術のように、工作機械における製品性能の向上に向けた取り組みを実践してまいります。
また、ジェイテクトグループの製品すべてにおいて、軽量化・簡素化・小型化など環境に配慮した開発に努め、当社グループの製品をお使いいただくお客様のカーボンニュートラルにも貢献してまいります。

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7.1  2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.3  2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
9.4  2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性の向上をさせる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

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