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Interviewsアスリート・インタビュー

世界一を目指して。~世界の舞台で戦うショートストップ 大川竜志~

ソフトボール日本代表 大川竜志

「男子ソフトボール」は、五輪種目でもなければ、テレビ中継も限られ、国内では女子ソフトボールのイメージが強く、男子ソフトボールの知名度は高いとは言えません。ですがその舞台は、今確実に熱を帯びてきています。アメリカ、アルゼンチン、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア...。

南半球で“野球以上にメジャーな競技”として扱われ、選手たちは140キロ超の剛速球と鋭い打球を武器に、世界最高峰の戦いを繰り広げています。

ジェイテクトでは、男子バレーボール、男子バドミントンとならびチームスポーツとして、男子ソフトボール部を徳島県で運営しています。このソフトボールチームの新星として期待されているショートストップの大川竜志(おおかわ りゅうじ)、24歳。

彼の信念と、ワールドカップファイナル世界一への思いを聞きました。
(インタビュー日:2025611日)
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ソフトボールとの出会い

小学校の6年間、ソフトボールに取り組んだのは兄の影響だったという。自然に始めたスポーツだったが、振り返ると、すでにその頃から今に繋がる土台が築かれていた。

「小学校の時、父がチームの監督をしていたんですけど、自分にだけ全力でのノックをしてきたんですよ。誰よりも早い打球を打ってくる。これを怖がらずに捕球する。あの経験が打球を怖がらずに体から入れる自分の守備の土台ですね」

中学では硬式野球に転向。メジャーリーガーのデレク・ジーター(元ニューヨーク・ヤンキース)に憧れたことがきっかけでショートを守ることになった。

現在もメジャーリーガー好きは続いており、タティスJr(サンディエゴ・パドレス)がお気に入りの選手。ユニフォームの着こなしなど参考にしているようだ。
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「自分の力で勝てるチームに」~大川の生き様~

高校を経て進学したのは、強豪校ではなかった神戸学院大学。それでも、大学4年時には全日本学生選手権でベスト8入り、大会でのパフォーマンスが評価されU23日本代表に選出される。大学生からの選出は、わずか2名であった。

 この評価の高さから言えば日本リーグ上位チームへの入社もできたはずだ。だが大川はジェイテクトを選んだ。

初めてジェイテクトのグランドを見たとき、大川は、少し笑ってしまったという。「膝まで草が伸びてて、水はけが悪くて水たまりがあるんですけど、そこにワカメみたいな藻みたいなものが浮いていたんですよ」

1年目のゴールデンウイークは帰省を返上してグランド整備を行った。

ピカピカの人工芝でもなければ、整備された設備もない。“強豪”という言葉とは程遠いその光景を前に、大川の思いは強まったという。むしろ、ここで勝ちたい。

「強いチームに入って、勝つのは当たり前だし、簡単だと思ったんです。でも自分は“工夫や努力で勝てるチームに”ということに、本当の意味での価値を感じている。それができたら、どんなにカッコいいかって」

実際に大川がジェイテクト加入後の23年シーズンは14位。それ以降、24年シーズン7位、25年シーズン3位(第2節終了時点)と着実に結果を伸ばしている。
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U23日本代表、そしてTOP日本代表へ

大学時代、U23日本代表に選ばれた直後から常にTOP日本代表を意識した。そこから2年経ち、大川はTOP日本代表に名を連ねる。

「今のTOP日本代表はこれまでの日本代表の中でもトップクラスに強いチーム」いわゆる黄金世代に近いかたちでU23から一緒に戦ってきた選手たちも多くいる。

「個々のポテンシャルは高いがそれだけでは勝てない。大会前のキャンプでチーム全体のビジョンを明確にし、連携の部分なども詰めていく必要がある」

さらなる高みへの思いも見せた。

打てない球に、どう立ち向かうか~天性の才能と積み重ねた努力~

「海外の投手の平均球速は140キロ前後。体感では190キロぐらいと言われています。見えてるかって?見えているけど“見えている”とは言えない」
感覚で捉えることもあれば、相手のクセやタイミングを読むこともある。だが、最終的にはこれまでの経験からなる“反応”がすべてだ。

大川の打撃においてのスタイルは至ってシンプル。常に長打(ホームラン)狙い。

「シングル3本打って点を取るのは、世界のピッチャー相手では無理。だから長打を狙う。状況に応じて単打狙いをするほど器用ではないですね」

それでいて、周りの選手に比べて空振りは少ない。日本リーグ第2節では2試合を通じて、空振りがゼロ。

その基礎を作ったのは、幼少期の反復練習にある。

「小学生の時、母親が毎朝出勤前にガレージでバドミントンのシャトルを投げてくれたんです。小さい面にミートする練習を1時間毎日。あれが、今の自分のバッティング技術につながっているんです」。このエピソードには元バドミントン選手である筆者も思わず反応してしまった。
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そんなバッティングセンスに溢れる大川に現在日本リーグ参戦中の世界ナンバーワンと呼び声高いジャック・ベス・グローブ投手について尋ねた。

左腕から繰り出される球。背中をバッターボックス側へ向けリリースポイントを隠す、さらには大きなグローブが視界を遮る。この特徴的ある投球フォームと最速ボールをどう捉えているのか?

「球が速いから打てないわけではない」。工夫と努力で常に考え向き合う。それが、対応力の高さに繋がっている。

実際に24シーズンでは抑えられたが、そのあとに行われたワールドカップ予選ではしっかり対応し安打を放っている。
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