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2018年度 主な取り組み

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特別対談 All for One Earth ~これからの未来のためにできること~

SDGsジャパンより星野智子氏を迎え、大友執行役員、吉田部長の3名で対談を行いました。
ジェイテクトの環境への取り組みや考え方について4つのテーマで語ります。

星野:はじめに、4月から大友様が安全環境推進部の役員になられたということで、お気持ちをお伺いできればと思います。

大友:私は生産技術出身で、CO2削減部会には関わっていましたが、環境の全体的なところには、関わりがありませんでした。4月から環境を担当することになって、会社の全体的な動き、会社における位置付けの重要性を改めて理解しました。自分のフィールドである生産技術の部分で、CO2を減らす、環境負荷物質を減らす、排出物を減らすといったところが会社の経営に直結していくことを再認識しました。

テーマ1環境スローガン“All for One Earth”への想い

星野:All for One Earthというスローガンについてお聞かせください。

吉田:ジェイテクト単体での活動をずっと続けていましたが、数年前から単体ではなくグローバルにという話が増々大きくなり、世界中の誰にでもわかるメッセージが必要だと考えました。企業の活動は基本的にインサイドアウトで、売りたいものを売る、作りたいものを作るというものですが、ESGやSDGsで言われているのは、基本的にはアウトサイドイン。事業を通じて何をすべきか、全体を包含する意味で、地球のためにという結論にいたりました。ジェイテクトのビジョンである「No.1 & Only One」の〝ワン〟という言葉の響きを含み、「All for One Earth」というメッセージができました。このスローガンをどう広げていくかが、これからの課題です。

星野:社員全員で取り組む意思が感じられますが、社員、ステークホルダーとどのようにコミュニケーションをとられたか教えてください。

吉田:ステークホルダーの皆様にお伝えするため、環境のホームページを昨年から一新し、タイトルページにあるAll for One Earthのメッセージに説明を加えました。従業員には、今年の環境月間のイベント内で展開しました。今年は、社長自らが「私のAll for One Earth」と題して、社長のブログでたびたび書かれる幼少期の体験をメッセージにし、皆様に発信させていただいております。「大友執行役員のAll for One Earth」、「私(吉田)にとってのAll for One Earth」のように、シリーズ化していけたらと思っています。

星野:すごく親近感がわきますね。自分事とするのは、共感をもたれるよい手法だと思います。

テーマ2環境チャレンジ2050・2020年環境行動計画における取り組み

星野:2016年の5月に策定、公表されました「環境チャレンジ2050」の特徴を教えてください。

吉田:IPCCが出している2℃シナリオ、もしくは1.5℃シナリオの目標年が2050年ということで、2015年にトヨタ自動車株式会社殿が、2050年に向けてチャレンジシックスを公表しました。トヨタ自動車殿のようにゼロとは言い切れませんが、同様のタイミングで我々も出そうということで、極小化という発信をさせていただきました。2030年の段階では、より具体的な数値目標を出していくことになると考えています。
生物多様性保全という部分ですと、弊社の事業で生物に対し、直接的になんらかのプレッシャーをかけるということが少ない為、評価としては難しいところがあります。飲料メーカーさんであれば、水を使ってお酒を作ったり飲料水を作ったりと、水そのものが地球の恵みだと言うことができると思います。弊社の場合、直接的ではありませんが、環境全体をできる範囲で保全をしていく、いわゆる自然共生活動として各工場でイベントを行っています。一方で、社会貢献的な活動を極端にやりすぎてしまうと、投資家から見た場合に、無償で行うリターンがない活動があまり評価されないという意見もあるので、考えながらやっていきたいと思っています。可能であれば、自然共生活動を通じて、社員教育をする形にしたいと考えています。その場合には、何人参加したかが一つの指標になりうるということで、一昨年から参加人数をバロメーターとして見ており、今は1,000人ぐらいに参加してもらっています。

大友:自然共生活動は、社内でも高い位置づけにあります。毎月の経営会議で結果を報告するだけでなく、各工場の担当役員に自ら参加いただき、従業員の方にも積極的に参加していただいて、理解を深めるための活動を進めています。

星野:環境教育活動をeラーニングでもやっていらっしゃるということで、きっと社員さんのためになり、環境配慮型の事業に繋がっていくのでしょうね。
2050年の目標が実現できた社会のイメージは、どのように描いていらっしゃいますか。

大友:変化をしていかなければ、会社は生き残れないと考えています。今は製造業という形をとっていますが、環境は一つのビジネスになりえますし、会社の柱になっていく可能性もあります。環境を意識した会社が、もしかしたら最後まで生き残っていく会社になるかもしれません。携わる従業員が、社会への貢献という誇りをもって働ける会社になっていくと素晴らしいですね。

星野:環境問題は社会問題ですから、社会の課題を解決することにチャレンジしていらっしゃるということですね。事業としても大事なことですし、社会のためにもなっているという意味でwin-winであると言えます。

テーマ3企業にとっての使命(SDGs時代におけるあり方)

星野:現在、いろいろなところでSDGsについての取り組みや啓発があり、国も自治体も力を注いでいます。御社にとって、企業の使命という部分でSDGsは無視できないと思いますが、どう捉えていますか。

吉田:SDGsは全部で17項目あります。実は最初にSDGsの話を聞いたとき、その中から任意に、自分たちのやっていることとマッチするものを拾ってくればよいと思っていました。しかし、アウトサイドインという視点で捉えると、少々違ってきます。環境部門、セクションだけが社内で動くという話ではないので、経営管理方面とも連携をとりながら取り組みたいです。
17のゴールに対して会社として何をできるか、何をすべきか考え、やれることをやっていくということだと思います。マテリアリティ分析と言われる部分をしっかりと行うことが重要だと思いますので、再整理をして進めていきます。

星野:会社全体としてはSDGsの項目の1番、2番、5番も含めて全て関わってきますね。

吉田:社会貢献でということではなく、それをすることで我々にもベネフィットがあるような、新しい事業の可能性も探っていかなければいけないでしょうね。

星野:新たなところを捉えて事業化できれば、会社にとってもプラスになるかもしれないですね。

大友:我々の置かれている立場と世の中が求めていることを見極めて、そこを押さえながら、会社の利益や成長に結びつけるような活動にしていきたいです。それが何かというところをまだ見つけられていないので、勉強して理解しながら取り組んでいきます。

星野:マテリアリティ評価もそうですし、外の目標を自分たちの目標にも入れていくように、ステークホルダーのニーズを把握する、アウトサイドインで外部の現状を分析しながら自社に活かすということが重要ですね。

大友:我々は株主だけではなく、投資家のような方々にも見られています。どういう評価を受けられるか、そのために我々がすべき努力は何かということを考えて行動したいです。

星野:投資家も、SDGsに取り組んでいないところには投資しないという話になっていますからね。やりたい、やりたくないに関わらず、やらざるを得ない状況になっていますから、積極的にやっていますと言えるほうがよいのでしょうね。パリ協定にも関連すると思いますが、サステナビリティが求められるSDGs時代に対する企業としての捉え方について、お話しいただけますか。

吉田:世界が環境など様々な問題に直面している中で何をどこまでやるのか、何をやらなければいけないのかということが、SDGsによってはっきりしました。今まで、モヤモヤしていたものが17項目に整理されたことは、企業にとって良いことです。

星野:私もよく、チェックシートと呼んでいます。これができました、というように全体を俯瞰する一つのお手本として使われるのかなと思います。

吉田:きっと、そうやって使っていくのだと思います。

星野: CO2、温室効果ガスの問題がベースにありますが、全社をあげてCO2削減に取り組んでいらっしゃいますね。

大友:製品でいうと、電動のパワーステアリングを作っております。車の燃費を向上させる役割があるので、これを広げてきたというのは一つの社会貢献になると思います。うまく事業となり、成長していければという想いで進めています。今後さらに環境が厳しくなると、例えば廃棄物を処理すること自体が事業になっていくという可能性もある中で、我々の技術が活かせるかどうかだと思います。これはアドバンス的な考え方ですが、リスク的な考え方をすると、排出する工場自体もオペレーションができなくなることが、近い将来出てくると思います。先取りしてリスクをチャンスに持っていくという発想が必要になると思いますね。

星野:チャレンジしがいがあると言いますか、まだまだやれることがありそうですね。環境に対し、他にどんなことができるか、今後どのようなことをしていくべきか、ご意見をお聞かせください。

吉田:最近出てきた海洋プラスチックは、地域の問題だったものが、それこそグローバルな問題になってきました。これまでは適正に処分していればよいという考え方で、プラスチックは悪いものではないと思っていました。今後の変化としては、代替品の開発がビジネスチャンスになるかもしれません。弊社は素材までは携わっていませんが、使用量を減らすといった工夫はできます。また今まではエネルギーを減らす省エネに取り組んできましたが、どこかで限界がきます。そうなると再生可能エネルギー等の手段についても、これらをどう作って、あるいは使って、あるいは購入してというシナリオを考えていかないといけません。

大友:製品をのせるトレー、梱包する包装ビニールなど、プラスチックは思った以上に使われていますが、お客様に届いた後、どうなるのかというところまでは見えていません。お客様の先で処分に悩むという困りごともあると思うので、そこまで踏み込み、例えば回収して再利用するところまでできるサプライヤー、供給元がアドバンテージになり、評価されるのではないかと思います。お客様の先まで踏み込んだ考え方というのは、重要になってくるはずです。

星野:一社だけでできることではないので、サプライチェーンの中でお付き合いのあるステークホルダーの関連会社さんにも、考え方を広めないといけないでしょうし、その先のお客様にも情報発信をしていく必要がありそうですね。

大友:仕入先さんから部品を納入頂くと、我々のところにはそれが残ります。どうリターンして再生し循環させるかを、我々と我々の協力会社で確立しお客様に提案するというステップになると思います。地球環境にどれだけ重きをおいているか、まずはトップから理解していただくという活動が重要です。

星野:環境教育を自社以外のステークホルダーの会社さんにも、やっていただけるとよいですね。

大友:ジェイテクトの子会社以外の関係会社とも環境ミーティングの場を持って、目標や考え方の共有をしていますので、まずは関係会社からスタートできると思います。

星野:CO2が課題と言われるようになり、社内の環境に対する意識は変わりましたか?

大友:今はトップ自らが環境に重きをおいています。10年前とは全然違います。

星野:一昔前ですとCSRや社会貢献としての重要性から浸透しましたが、今は経営者の方が会社のリスクをなくすために環境に取り組むといった形に変化しています。私もこういった社会の変化を感じることがありますが、全国、全世界にアピールできるような、御社ならではの環境の取り組みについてお話いただけますか。

大友:ベアリングを作る工程に、研削という鉄を削る工程があるのですが、削りカスが出てきます。その削りカスを固形化し、廃棄物にしないようにする活動を行っています。そもそも削ることをやめていくということも、並行して取り組んでいます。

星野:固形化したものが、商品になるということでしょうか。

吉田:また鉄に戻るということです。

大友:特殊な機械を使って、仕分けのような作業が必要になります。

吉田:溶かして使うということです。鉄鉱石に比べ、はるかに鉄分が多いので天然資源より優良な資源です。また、弊社の製品である軸受は、摩擦を減らすことでエネルギーロスが減るため、風力や新幹線等様々な回る機械に入り、省エネに貢献します。こういった部分は、ジェイテクトらしさと言えます。

大友:製品系では、電動パワーステアリングで燃費を向上させてCO2を減らす、風力発電自体のベアリングを供給するといったことが挙げられますが、もう一つは駆動部品やステアリング部品の軽量化です。システム自体を軽量化し、自動車会社へおさめることで燃費を向上することにつながります。

星野:車だけではないのですね。

大友:重くないことで、車自体もブレーキングを楽にできる、ボディーの厚みを減らせるということにつながっていくので、自動車会社さんは軽量化を天使のサイクルと呼んでいます。我々は軽量化の目標を立て、それぞれのシステムで進めています。

星野:たしかに軽量化は、CO2削減になりますね。

大友:今は鉄のものをアルミに、アルミのものを樹脂に変えるなど、材料を置換して軽量化します。強度がもたないものに対しては、例えば鉄とアルミを接合したり、アルミと樹脂を接合したりと、ハイブリットな接合という生産技術革新に取り組んでいるところです。

吉田:製造過程で出るCO2を、製品で貢献するCO2がカバーするようにしていきたいですね。

星野:なるほど、そうすることでカーボンマイナスになっていくということですね。リサイクルしやすいということもありますか?

大友:不純物が多く入ると再生しにくいので、不純物を入れないような作り方や、接合しても剥がしやすくする技術が重要になりますね。ただし、車の使用において、絶対に壊れない耐久性という大前提はあります。こういった点が伸ばしていくべき技術だと思っていますが、我々だけではできないことなので、トヨタグループやグループ会社、大学といった産官学の連携による技術の革新を目指しています。もともと研究部門は大学との連携を行っていましたが、生産技術部門は行えていなかったので、積極的に連携をとっていこうとしています。

テーマ4今後の展望

星野:大きな目標を掲げて、すでに動き出し、チャレンジを続けていらっしゃる御社ですが、今後の展望をお二人からお話しいただけますか。

大友:環境に対する取り組みは、遅れてしまうとリスクになると私は考えています。逆に推し進めてアドバンスにしていくと、ビジネスチャンスになります。経営者からオペレーションをやっている一人一人が理解することは第一優先であり、全員が理解しなければ会社としては回りません。我々は環境を司る人間として、常にメッセージを出し続け、理解者を増やしていきます。今後、環境がどんどん厳しくなれば、工場のオペレーションができなくなり、操業停止に追い込まれるというリスクも生まれます。一方で、リスクを取り除くような商品や設備を開発することが、チャンスになっていきます。すでに今いくつかの事業がありますが、技術を革新することで新たな事業もさらに期待値が上がっていきます。

星野:リスクを捉えてチャンスに変えていき、チャレンジし続けるということですね。

吉田:当面は2020年までの目標があります、18年度は幸いにもCO2はかなり効果が出ました。まずは地道なところから、進めていきたいと考えています。今年は若干、廃棄物が厳しくなりそうな懸念があるので、巻き返しできるようにしていきたいと思っています。一歩一歩、着実に取り組んでいくことが重要です。

大友:取り組みがスタートした時には、ネタがあり、気づきもあるものですが、連続的にやっていくためには、技術革新と新たな気づきが必要です。案を出しながら、新たな気づきを求めて取り組んでいきます。

星野:本日はありがとうございました。

  • 大友 直之株式会社ジェイテクト 執行役員
    出身地:徳島県
    1987年3月 金沢工業大学 工学部 卒業
    1987年4月 光洋精工株式会社入社
    2018年4月 株式会社ジェイテクト 執行役員 就任/ステアリング事業本部 試作部、駆動事業本部 試作部、軸受事業本部 試作部、生産技術本部 ステアリング生産技術部、同 駆動生産技術部、同 軸受生産技術部 担当
    2019年4月 同社 同 生産サポート本部安全環境推進部、同 生産技術領域、同 生産技術管理部、同 生産技術開発部、同 工機部、同 鋳鍛造生技部、同 熱処理生技部 担当
  • 吉田 賢吾株式会社ジェイテクト 安全環境推進部 部長
    出身地:愛知県
    1983年3月 名古屋工業大学 建築学科卒業。
    1983年4月 トヨタ自動車株式会社へ入社。トヨタ自動車では、主に施設計画を担当(※)
    2018年 株式会社ジェイテクトへ入社。
    一級建築士、日本建築学会会員
    (※)産業技術記念館、2005年愛・地球博マスタープラン等、直近ではトヨタテクニカルセンター下山を担当。環境アセスメントを主導した。
  • 星野 智子SDGsジャパン事務局より派遣(業務執行理事)
    02年のヨハネスブルグ・サミット、「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」推進運動、2010年の生物多様性COP10の市民ネットワーク、リオ+20地球サミットNGO連絡会の⽴ち上げ・運営に参加。03年より地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)の運営に関わる。現在(一社)環境パートナーシップ会議副代表理事としてSDGsの推進・普及や対話の場づくりなどパートナーシップ推進を行っている。他にNPO法⼈⽇本NPOセンター、(⼀社)海外環境協力センターの理事、持続可能なスポーツイベントを実現するNGO/NPOネットワーク(SUSPON)の副代表等を務めている。環境省SDGsステークホルダーズミーティング構成委員。

2018年度の取り組み報告(総括)

ジェイテクトでは「環境チャレンジ2050」達成に向けて、ジェイテクトグループと環境保全活動を推進するために、取り組み方針および具体的な目標を定めた「2020年環境行動計画」を策定し、ジェイテクトグループ全体で共有しています。2018年度の報告は以下です。
グローバルCO2排出量(原単位)
12.8% 改善
(2012年度比)
ジェイテクト単独
CO2排出量(原単位)
16.0% 改善
(2008年度比)
今後はパリ協定で合意された気温上昇を2℃未満に押さえるため、科学的根拠に基づいたCO2排出量目標の設定を進めます。「環境チャレンジ2050」の実現に向け、ライフサイクル全体で排出されるCO2極小化達成を目指します。
<2018年度活動実績>