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リチウムイオンキャパシタ

第4回:代表的な電池-後編(リチウムイオン二次電池)

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コラム 違いがわかる 電池の話

前回に引き続き、代表的な電池を紹介していきます。今回は、スマートフォンをはじめ、身近なところでも頻繁に使用されるリチウムイオン二次電池について解説します。

※繰り返し充放電ができない一次電池タイプのリチウムイオン電池もあるため、
このコラムではリチウムイオン二次電池と区別して表記しています

リチウムイオン二次電池

リチウムイオン二次電池(LiB)は、ニッケル水素電池よりもさらに高エネルギー密度、高出力、充放電寿命が長い電池です。
現在、国内では、最も年間生産数の多い電池で、民生用途・産業用途において幅広く活用されています。
メーカーによって異なりますが、正極はリチウム金属酸化物、負極は主に炭素系材料(例:黒鉛)を使用します。

長所は、体積・重量あたりのエネルギー密度が大きい点です。
また、ニッケル水素電池に比べて、メモリー効果も小さい、サイクル寿命が長い、充放電を繰り返しても性能が低下しづらい、という特長を持っています。
また、セルあたりの電圧も3.6~4.2Vと高く、高電圧が必要な用途にも活用が進んでいます。

図|リチウムイオン二次電池の
基本構造
リチウムイオン二次電池の基本構造
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POINT

リチウムイオン二次電池の充放電

放電:リチウムイオンが負極から正極に移動
(黒鉛に吸蔵されたリチウムイオンが正極の結晶内に化合)

充電:充電時には正極の結晶からLiが脱離し、負極に移動する
(黒鉛にリチウムイオンが吸蔵)

様々な材料構成のリチウムイオン二次電池がありますが、充放電を行う基本的なメカニズムは共通しています。

リチウムイオン二次電池には、正極に利用するリチウム金属酸化物によって、様々な種類があります。ここでは代表的なものをご紹介します。

・三元系リチウム(NCM)
コバルトやニッケル、マンガン等の三元系の金属イオンをそれぞれの欠点を補い合う形で配合したものです。例えばニッケル酸リチウムを用いると容量が大きくなり、アルミニウム元素を添加したNCAは、耐熱性向上に寄与します。

・コバルト酸リチウム(LCO)
合成が比較的容易で大量生産できるメリットがあります。

・マンガン酸リチウム(LMOスピネル系)
コバルト酸リチウムより安全性が高いですが、高温で充放電すると、容量劣化が発生というデメリットがあります。

・リン酸鉄リチウム(LFPオリビン系)
レアメタルを使用しない分、環境負荷が低く、コストが安価という特長があります。デメリットは、作動電圧が約3.6Vと低いです。瞬間的なパワーを必要とするアプリケーションには不向きでしたが、研究開発により改善が進んでいます。

POINT

負極の黒鉛に替わる材料として、合金が検討されています。代表例としては、チタン酸リチウム(LTO)です。作動電圧が低くなるものの、サイクル特性が優れ、大電流での急速充電性能が改善されています。

なお、電解液は非水電解液(有機溶媒と添加剤)を使用しています。
リチウムイオン電池は高電圧のため、水を電解液に用いると、水の電気分解が進み、電解液が揮発してしまうためです。
一方、発火事故の発生リスクが懸念されています。充放電時にリチウム金属が析出し、正極と負極が直接接してしまうことで、内部短絡が発生します。短絡によるスパークに有機溶媒が反応して「熱発火」が起き、火災につながってしまうのです。

POINT

豆知識

ノーベル賞を受賞された吉野彰氏らによって発表されたリチウムイオン二次電池は、正極にコバルト酸リチウム(LCO)、負極に炭素系材料を使用しています。

まとめ

今回は、電池の代表例として、リチウムイオン二次電池をご紹介しました。
次回は、キャパシタ・コンデンサについてご紹介します。
お楽しみに!

注記|本コラムにおける技術情報は、当社および第三者の知的財産権他の権利に対する保証または実施権を許諾するものではありません。また、一部の内容に主観的な解釈・意見を含むことをお含みおき頂きますようお願い致します。

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