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リチウムイオンキャパシタ

第7回:蓄電池どれ使う?&どう使う?

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コラム 違いがわかる 電池の話

第1回で触れましたが、現在世界各国で脱炭素社会の実現に向けて、カーボンニュートラル化の取り組みが活発になっています。2030年代にはガソリン車を廃止すると方針発表した国もあり、自動車産業をはじめ、各業界で電動化の動きが加速しています。
今回のテーマは、蓄電池を選ぶときのポイントや使い方について、考察してみました。

用途や使用環境で変わる

産業用リチウムイオン電池について規定したJIS規格「C 8715:2019」を参照すると、用途について下記のような記述があります。

○据置用途
電気通信関連,無停電電源(UPS),電力平準化用蓄電,非常用電源,及びこれらに類似した用途。

○移動体用途
フォークリフト,ゴルフカート,無人搬送車(AGV),鉄道,船舶など。ただし,路上走行車は除く。

上記を少し補足すると、

・発電はできるが電力を貯蔵できない装置との組み合わせ
(例:風力や太陽光発電装置と組み合わせた電力貯蔵装置等)

・商用電力が使用できない環境での電力供給装置
(例:モバイル機器、電気自動車、停電バックアップ電源等)

・商用電力の補助電源(例:電力負荷平準化装置、分散給電装置等)

という場面で、蓄電池の活用を想定されています。
前回までのコラムでご紹介したように、蓄電池にも様々な分類があり、
実際には、様々な環境や用途に応じて、最適なデバイスが使い分けされています。
以下に、簡単にまとめてみました。

POINT

性能まとめ

エネルギー密度:リチウムイオン電池>ニッケル水素電池>鉛蓄電池>>>キャパシタ・コンデンサ
出力密度:キャパシタ・コンデンサ>>電池
温度特性:キャパシタ・コンデンサ>電池
寿命:コンデンサ>キャパシタ>>リチウムイオン電池>ニッケル水素>鉛蓄電池
※仕様環境や各社メーカー製品に性能により異なります。

想定される機械の動作や使用環境、寿命等、どの要素を一番に考えるかで変わるため、実際に選定するときは、「ここは外せない」という性能を基準にしてみていくのも一つでしょう。

想定動作

電池とキャパシタの併用

これまでのコラムで様々な種類の電池・キャパシタについて紹介しましたが、それぞれメリット・デメリットがあります(第3・4・5回参照)。
そのような中、電池やキャパシタと組み合わせて使用するアイデアがあります。

例えば、平常時は容量のある電池から放電し、電池では負荷のかかるようなピーク電流や電力変動は、電池と接続しているキャパシタで対応するなど、特長の異なる蓄電池を組み合わせることで、容量や出力、寿命など理想的な性能を実現した電源ユニットとすることができます。

電池とキャパシタの併用

劣化が進んでしまう、出力が足らないなど、電池での困り事が解決できる可能性があります。

無線給電技術との組み合わせ

電池とキャパシタ、それぞれの特長が活かせる用途で活用されていると書きましたが、「無線給電」技術により新しい使い方が検討されつつあります。

従来、充電する時は電源ケーブルと金属電極を接続していましたが、
近年、空間を通じて電力を伝送する「無線給電」の実用化が進みつつあります。
身近な場面では、スマートフォンや電動歯ブラシなどで使われていますね。
この技術が産業用途でも活用が進められています。

例えば、近年は人手不足問題を背景に、自動化が進められる工場や物流倉庫でAGV(Automatic Guided Vehicle)の活用が広がっています。
従来、AGVは有線充電器・接触自動充電器が使用され、有線充電タイプでは、バッテリーをAGV本体から取り外し、外部に設置された充電器に接続して充電を行っていました。

しかしながら搬送作業を無人化できても、バッテリーの充電は人力作業に頼っているところが多いのが現状です。しかも産業用バッテリーは重く、落下や腰痛など安全上のリスクもあります。これでは真の省力化・効率化に結び付きません。
また、接触式の自動充電方式もありますが、無人化は実現できるものの、充電器までの移動ロスや端子部分の劣化によるメンテナンス作業、端子接触時のスパークによる火災リスクが懸念されます。

これに対し無線給電は、必要なときにこまめに充電でき、長時間稼働するための容量の大きな電池を搭載する必要もなくなるため、充電のために重いバッテリーを持ち運ぶ作業を省略できます。
さらに、非接触のため火災リスクも小さく、安全対策としても有効な技術です。

AGV以外にもIoTを駆使した無人工場をはじめ、将来に向けて自動車での活用検討も進むなど、今後の普及に向けて研究開発が進んでいます。
従来は、設備を長時間稼働させるため、容量の大きい電池が使用されていました。しかし、今回ご紹介した無線給電を用いた場合は、大容量というよりも、急速かつ頻繁な充電が可能な電池がより適しており、先回のコラムでご紹介したキャパシタ(電気二重層キャパシタ・リチウムイオンキャパシタ)も非常に相性が良いと言えます。

このように、新たな技術と組み合わせて、様々な仕様の電源を検討できるようになり、開発者の方々の選択肢はますます広がっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回のテーマは「蓄電池の選定」でした。
当社では、リチウムイオンキャパシタの開発・製造を行なっております。
ご興味・ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。

注記|本コラムにおける技術情報は、当社および第三者の知的財産権他の権利に対する保証または実施権を許諾するものではありません。また、一部の内容に主観的な解釈・意見を含むことをお含みおき頂きますようお願い致します。

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